Research Project
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
受容体様の構造をもったアルツハイマー前駆体(APP)は広汎な神経細胞死をおこすアルツハイマー病(ア病)やダウン症の病原遺伝子の一つであるが、その作用機構は未解明であった。私達の研究室では、APPが機能としても受容体様に作用する可能性を世界に先駆けて示し、三量体GTP結合蛋白質(G蛋白質)のGo、さらにそのβ2γ2サブユニットを介して細胞死シグナルを伝えることを発見している。ア病に伴う細胞死を解明するためには、APPの受容体機能のさらなる解明が重要である。β2遺伝子をベイトとする酵母ツーハイブリッド法による標的蛋白質の探索ではAPLP1が得られたが、リコンビナントを作成してもβ2γ2との結合を示唆する結果が得られなかった。そこでAPPに結合する別の蛋白因子が関与する可能性を考え、APPの細胞内領域の標的蛋白質を検索した結果、新規の結合蛋白質としてマウスおよびヒトJIP-1bを得た。JIP-1bはJNK結合蛋白質のJIP-1に47残基のアミノ酸配列が挿入された形であり、そのために、JIP-1と違って、リン酸化チロシン結合ドメイン(PID)を持つ。今回のスクリーニングで得られた既知のAPP結合蛋白質、すなわち、Fe65、Fe65L、X11、mDab1は、すべてPIDを持ち、APPの細胞内領域に存在するGYENPTYモチーフと結合することが知られている。酵母ツーハイブリッド法、リコンビナントによる結合実験、培養細胞による免疫沈降を用いて、JIP-1bがAPPと同様な機構を使って結合していることを示し、さらにJNK-JIP-APPが三者複合体を作ることを示した(投稿中)。JIP-1bはMLK/DLK、MKK7、JNKをスカフォールドし、JNK経路を制御することが知られているので、APPとJIP-1bの結合がどのようにJNK経路に関与するのかを検討している。
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