Research Project
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
軽症型強皮症の血清学的マーカーとされる抗セントロメア抗体(ACA)を用いてセントロメア蛋白の構造と機能の解析、疾患特異性の検討を行ってきた。その過程で、約半数のACA陽性患者血清中にのみ共存する抗体が認識するヘテロクロマチン結合蛋白p25(Hp1^<HSa>)をクローニングした。その抗体は抗クロモ抗体と呼ばれ(p23およびp25に対する自己抗体)、大部分の抗p25抗体はクロモドメインとクロモシャドウドメインと呼ばれる種において保存されている領域を認識し、同抗体陽性患者はACA陽性患者の中で臨床的にシェーグレン症候群やエリテマトーデスの特徴を併せ持つ一つのサブセットを形成する。クロモ抗原p25の全長cDNAを用いての発現蛋白によりELISAの系を確立し、同時に多検体の解析を定量的に行うことを目的として実験を進めた結果、以下の事項が判明した。1)p25(Hp1^<HSα>)の大腸菌におけるリコンビナント蛋白の発現精製は、全長のリコンビナント蛋白においては非常に蛋白分解を受けやすく、2)発現ベクターの種類、大腸菌培養条件の変更、各種プロテアーゼインヒビターの使用等の工夫によっても克服困難であった。今後ELISAの実用化に向けて二つのメジャーエピトープであるクロモドメインとクロモシャドウドメイン部分蛋白を独立に発現精製させ、それらの混合蛋白でELISAを行うことも一方ではないかと思われる。