Research Project
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
施設入所中の高齢者を取り巻く光環境を評価し、光環境の劣化が高齢者での血中メラトニン分泌障害及び睡眠障害の発現に果たす役割に関して検討した。対象と方法:対象は、老人保健施設に入所中の、健常老年者10名(EC群:平均年齢70.7歳)、原発性不眠を有する高齢者10名(EI群:平均年齢74.2歳)、在宅の健常若年成人10名(YC群:平均年齢20.9歳)である。研究期間は、1)光環境評価期間(14日間)、及び2)光照射期間(4週間)からなる。光照射はEI群に対してのみ、10〜12時、14〜16時までの計4時間、4週間にわたり施行した。全研究期間を通じて、睡眠パラメータ(アクチグラフ)と光センサーを用いた眼球方向での光暴露量を1分間隔で連続測定した。光環境評価期及び光照射期期最終日の翌日に、血中メラトニン分泌リズムを評価した。結果と考察:EC群及びEI群での光暴露量は、YC群に比較して有意に低下していた(p<0.01)。EI群での総光暴露量はEC群に比較して有意に低下していた(p<0.05)。光照射中には、眼球位置で平均2500lux以上の光照度が確保されていた。光照射中のEI群での総光暴露量は、YC群との間に有意差は認められなかった。メラトニン分泌リズム振幅及び夜間総分泌量ともに、3群間で有意差が認められた(YC>EC>EI、p<0.01)。4週間の光照射により、EI群の睡眠障害は有意に改善された(総睡眠時間:373.5±15.5min vs 398.8±17.1min、p<0.05;睡眠効率:69.2±2.9vs76.5±2.7%、p<0.05;中途覚醒時間:72.3±5.0vs50.2±5.1min、p<0.02)。光照射によりメラトニン分泌リズム振幅及び夜間総分泌量ともに光照射前に比較して有意に増加し(p<0.01)、YC群との間の有意差が消失した。
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