Research Abstract |
【目的】 我々はこれまでMRIやMRSを用いて精神分裂病者の病態の研究を行ってきた。最近,我々はfMRIを用いた研究にも着手しており,予備的研究として健常者における神経心理検査施行時のfMRIデータを収集したので,その結果を報告する。 【方法】 対象は,男性17名(27.6±4.4歳),女性14名(26.5±3.8歳)の合計31名で,いずれも当大学の学生あるいはスタッフである。対象者には研究の目的を説明し,文書で同意を得た。賦活課題としては,Rao,S.M.らがfMRIの賦活課題に用いた,Levine,M.のConceptual Reasoning Taskを用いた。測定装置はSiemens Magnetom Vision 1.5Tを用い,echo planar法,2×2×5mmの解像度で全脳24スライスを78スキャン撮影した(最初の6スキャンは解析から除外し,task-restは6サイクル施行)。データの解析はSPM96を用い,個々のデータ解析とrandom effects kitによる健常者グループ全体の解析を行った。 【結果】 31名中14名に明瞭な賦活が認められ,特に前頭前野あるいは頭頂葉に強い賦活が認められた。健常者グループ全体の解析では,左側前頭前野(Brodmann9,10,44,45,46,47野),両側前部帯状回(Brodmann32野),両側前補足運動野(Brodmann8野),両側運動前野(Brodmann6野),両側頭頂葉(Brodmann7,39,40野),左側側頭葉(Brodmann37野),両側後頭葉(Brodmann18,19野),両側視床,中脳に賦活が認められた。 【考察】 Levine,M.のConceptual Reasoning Taskはworking memoryや注意が関与する課題であり,今回の結果では,形態視,空間視,working memory,注意などに関係する領域が賦活されており,Rao,S.M.らの結果と比較すると,基底核以外の部位においてはほぼ同等の部位が賦活されており,妥当な結果と考えられた。
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