抗精神病薬投与によるラット脳内NMDA型受容体サブユニットの変化について
Project/Area Number |
11770564
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Psychiatric science
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
豊田 裕敬 大阪医科大学, 医学部, 助手 (50309150)
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Project Period (FY) |
1999 – 2000
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2000)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2000: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | 抗精神病薬 / ラット脳 / NMDA型受容体 / サブユニット / Western blotting / 特異抗体 / haloperidol / グルタミン酸 / gene expression / in situ hybridization |
Research Abstract |
NMDA型受容体はグルタミン酸受容体の1つであり、その拮抗剤であるphencyclidineが精神分裂病様症状を発現させることから、精神疾患との関連が検討されてきた。これまで我々はNorthern blot法およびin situ hybridization法による検討を行い、抗精神病薬投与がNMDA型受容体サブユニットmRNA発現量に有意な変化をもたらすことを報告した。平成12年度にはさらにWestern blot法を用い、抗精神病薬投与によるNMDAR1、R2A、R2B、R2Cサブユニットのタンパク量の変化について検討した。 【方法】実験にはWistar系雄性ラット(240.260g)20匹を用いた。Haloperidol投与群、Sulpiride投与群、Clozapine投与群(各n=5)には、それぞれHaloperidol(3mg/kg)、Sulpiride(100mg/kg)、Clozapine(30mg/kg)を腹腔内投与した。対照群(n=5)には生理食塩水を腹腔内投与した。薬物投与から2時間後にネンブタール麻酔下で灌流固定を行い、全脳を摘出した後大脳、小脳に分離し、分画遠心法を用いて膜画分を調整した。免疫定量にはNMDAR1,R2A,R2B,R2Cサブユニットに対する特異抗体を用い、ECL Western blot detection system(Amersham)で免疫陽性バンドを検出した。免疫陽性バンドの定量にはNIH Imageを用い、統計にはone-way ANOVAを用いた。 【結果と考察】Haloperidol急性投与群では、小脳のNMDA受容体R2Bサブユニットの蛋白量がコントロール群と比べて有意に減少していたが、大脳では有意な変化を認めなかった。Sulpiride急性投与群においても同様の結果が得られた。Clozapine急性投与群では、大脳においてNMDA受容体R2A、2B、2Cサブユニット蛋白量の有意な増加を認めた。NMDA受容体R1サブユニットについては、各薬剤とも大脳及び小脳において有意な変化は認めなかった。 抗精神病薬急性投与によりラット脳内NMDA受容体R2サブユニットに蛋白レベルで有意な変化がみられたことより、抗精神病薬の作用機序にドーパミン?グルタミン酸相互作用を介したNMDA受容体の機能変化が関与する可能性が示唆された。 上記結果は平成12年度日本神経精神薬理学会年会において発表を行ったが、現在脳内部位別、さらに慢性投与による変化について追加実験を行っている。
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)