Project/Area Number |
11770765
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Cerebral neurosurgery
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
本望 修 札幌医科大学, 医学部, 講師 (90285007)
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Project Period (FY) |
1999 – 2000
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2000)
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Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2000: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Keywords | adult / gene / human / infarction / neural stem cell / stroke / transplantation / stem cell |
Research Abstract |
当該研究計画はヒト神経幹細胞の成人脳における存在確認、局在、抽出・培養、脳内への移植療法の検討を主題とし、損傷を受けた神経回路の再構築を試みるものであった。成人脳における局在の解析、抽出・培養方法の確立、脱髄疾患・虚血性疾患への移植実験は昨年までの研究ですでに達成されている。本年度は以下の研究結果を得た。 1:ヒト神経幹細胞の外傷モデルへの移植:ヒト神経幹細胞を免疫抑制下の外傷モデル(ラット除皮質モデル)へ移植し、1-3週後に組織学的解析を行なった結果、同部位にヒト神経幹細胞が生着、神経細胞やグリア細胞へと分化し、神経組織を再構築することが確認された。また、ホスト正常脳内へと遊走している所見、および損傷部位より正常脳内へ神経突起を伸ばしている様子も観察された。さらに、損傷部位と正常神経組織との移行部においても瘢痕組織の形成や腫瘍性の増殖は全く示さず、両領域間でスムーズな組織移行が観察された。 2:神経栄養因子で分化を誘導した。神経幹細胞は神経栄養因子を使用しなくてもmitogenの添加を中止するだけで分化を開始し、約半数はneuronになり、また約40%はastrocyteへと分化した。また,ごく少数であるがoligodendrocyteへの分化も認められ、神経系の主要3系細胞に分化することが確認された。一方、神経栄養因子の添加では、さらに選択的な分化を誘導することが可能でった。例えば、PDGFを添加した群では,neuron細胞の比率が多くなり,astrocyteの割合は減少する。同様に、CNTF添加群では、グリア系細胞への分化が促進された。 神経幹細胞から分化させた神経細胞の機能解析を電気生理学的に検討すると、分化誘導後、約4週間で活動電位を発するようになり、同時に、神経伝達物質に対する反応性も示した。また、免疫細胞学的解析でも神経伝達物質とその受容体の発現が認められた。さらに、細胞間のシナプス伝達も電気生理学的に確認され、同所見は電子顕微鏡での超微細構造の観察でも確認された。これらの結果より、成人脳由来の神経幹細胞は、移植後、ホストの神経組織内でも機能的に分化し、神経ネットワークを再建でき得ると推測された。 3:Major Histocompatibility Complex(MHC)の移植免疫への影響を検討:神経幹細胞はホスト神経組織へ移植されるとMHC抗原を呈することが判明し、移植療法において拒絶反応を考慮せざるを得ないことが確認された。さらに、MHC class I and class II knock-out由来の神経幹細胞をドナー細胞とした実験でも、同抗原提示が拒絶反応に大きく関与していることが判明した。 以上のように、補助金は補助条件に従って、非常に有用に使用されている。
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