Research Project
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
申請者は、加令によるXPAマウスの雄性不妊の原因を解明するために、昨年度にひき続き以下の実験を行った。1)精子形成過程におけるXPA遺伝子の発現を調べるため、生後8日令、16日令、成獣のC57BL/6マウス精巣のRNAを用いてノーザンブロットを行っており、現在XPA遺伝子の発現を調査中である。2)XPAマウスの雄性不妊の原因を解明するために、内分泌異常の検索を目的としてマウス血中の性腺刺激ホルモン(LH、FSH)、テストステロン等の測定を行なった。予備前な測定dでは、XPAマウスの雄性不妊はホルモンの異常によるものではない可能性が考えられた。このことは、XPAマウスの雄性不妊が、精子形成過程の細胞における内因性のDNA損傷の蓄積によって生じている可能性を示すものであり、XPAマウスはDNA損傷による精子形成不全の病態モデルとして有用であることが明らかになった。また、XPA蛋白質は、精子ゲノムの維持に重要な役割を担っていることがわかった。3)XPAマウスの雄性不妊の原因をさらに解析するために、XPAマウスにX線照射を行うことで酸化的DNA損傷を与え、早期に2年令XPAマウスと同様な精子形成不全状態を作成できないかを検討した。X線照射の条件は、1回照射、2回照射を2Gy、4Gy、6Gy、8Gy、9Gyの各線量で行ったところ、精巣についてはいずれの条件でも精子形成不全にはならなかった。しかし、予備実験のX線の連続照射で、XPAマウスだけが精子形成不全になることがわかり、今後詳細な解析によってその病態の解明が待たれる。4)現在A群XP患者剖検の精巣組織を集めており、XPA遺伝子の突然変異を確認し、年令ごとの精巣病変の変化を解析中である。