Research Project
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
Renal cell carcinomaの治療では現在のところインターフェロン以外に有効な治療薬はない。しかし、このインターフェロンの有効性は、約20%にとどまるため、この治療法の改良が望まれている。インターフェロンの感受性を規定する因子を明らかにすることは、治療を行う上での判断のため、あるいは明らかになった因子の遺伝子導入によりその感受性を与えることによる治療の可能性など、その臨床的意義は高いと考える。そこで、本研究ではDifferntial display法を用いて、インターフェロン感受性株と非感受性株を用い、それぞれに共通する遺伝子を明らかにすることを目的として実施した。また、インターフェロンの感受性の異なる細胞間における、インターフェロンレセプターから細胞の増殖に関わる細胞内のシグナル伝達を担う分子についてその発現等を検討した。1.Differntial display法による遺伝子の検出:さらに3つの遺伝子を分離し、その配列検索と、データベース登録された既知遺伝子とのホモロジーサーチを行った結果、ホモロジーが明らかとなったのは3つで、ヒトG-6-PD、マウスmem-3、ヒト繰り返し配列、残り一つは登録はされていたが、性状が明らかとなっていないcDNAであることが明らかとなった。この遺伝子を用いたNorthern blottingを行ったが、残念ながらインターフェロンの感受性との関連性は明らかでなかった。2.感受性の異なる細胞内のシグナル伝達について:インターフェロンのシグナルは、レセプター、Tyk2、Jak、Stat-1、Stat-2、ISGF-3を介して遺伝子への情報が伝わる。そこでこれらの発現をRT-PCRで検討した。その結果、mRNAレベルでの発現には差は認められなかった。今後は蛋白レベル、またシグナル伝達に関わるリン酸化も含めて検討を行う予定である。