Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2000: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Research Abstract |
従来のイアホンを用いた補聴器はその特性上,高音域まで正確な音圧増幅特性を維持するのは困難である.その問題を解決するため,近年は,磁石や特殊な振動子を耳小骨に取り付け,磁力により駆動する電磁誘導型補聴器が開発されつつある.これらは駆動力が強く,高音質である利点を有するが,いずれも装着の際に中耳手術が必要であり,広く実用化される段階には至っていない.そこで本研究では,中耳侵襲が少なく装着が容易であり,且つ,高音域でも高い補聴効果が得られる電磁補聴システムを開発する. 今回設計したデバイスは,鼓膜面に留置する軽量の振動コイルとそれを駆動させるための駆動コイルとからなる.振動コイルは鼓膜面に直接,オイルを用いて留置させる.2つのコイルに同位相の交流電流を流すことにより,磁力の作用によって振動コイルが振動する.上記の概念に基づいてデバイスを試作し,性能を評価した結果,以下のような知見を得た. 1.鼓膜に見立てたゴム円形膜中央に試作したデバイスを取り付けて,その出力を計測した結果,高周波数まで高利得を実現することができ,120dB以上の高度難聴でも安定した補聴が可能であることが示唆された. 2.上記の円形膜中央にオイルを用いてコイルを留置させても,振動コイルが軽量であるため,長期間その位置を維持することができた. 今後は,コイル形状や配置の最適化を試みた後,試作したデバイスを動物の耳に取り付け,その時の聴力閾値を聴性脳幹反応(ABR)などを用いて計測し,デバイスの有効性を確認する予定である.
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