Research Project
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
下咽頭癌138症例に検索対象を増やし、転移リンパ節の被膜外浸潤について検討した。被膜外リンパ節浸潤を認めた61例で、50例が死亡しており原病死は40例(うちリンパ節死15例)であった。被膜外リンパ節浸潤のない77例では、38例が死亡しており原病死は21例(うちリンパ節死4例)であった。下咽頭癌患者の予後に対する被膜外リンパ節浸潤の重要性が再認識された。138例中の66例の下咽頭癌を対象として、癌関連遺伝子のp53、増殖のマーカーであるKi-67、血管増殖因子であるPD-ECGF/dThdPase(以下ECGF)とVEGFの発現について解析した。組織はパラフィン包埋された組織を用いた。免疫染色にはLSAB kitを使用し、判定はp53は癌細胞の中で陽性細胞が1%以上のものを陽性とし、Ki-67、PD-ECGF、VEGFは癌細胞の400個中で陽性細胞が10%以上のものを陽性とした。66例の内訳は生存23例、死亡43例(原病死26)で、これらの例での陽性率(陽性の症例の割合)を調べた。全体の各因子陽性率はp53:55%、Ki-67:64%、ECGF:62%、VEGF:73%であった。転移リンパ節被膜外浸潤例での各因子陽性率はp53:44%、Ki-67:66%、ECGF:59%、VEGF:66%であった。転移リンパ節被膜外浸潤(-)例での各因子陽性率はp53:62%、Ki-67:62%、ECGF:65%、VEGF:78%であった。一方死因別にわけて、原病死した患者で解析すると、被膜外浸潤例ではp53:50%、Ki-67:67%、ECGF:67%、VEGF:72%、非浸潤例ではp53:62、Ki-67:80%、ECGF:88%、VEGF:88%であった。以上の結果から、上記4因子の中ではVEGFがもっとも下咽頭癌での発現が高い傾向を示したが、被膜外浸潤に有為な影響はみられなかった。
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