Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2000: ¥300,000 (Direct Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Research Abstract |
生体への親和性が高く,また物理的強度と化学的安定性に優れた陶材の利点を,有床義歯においても生かすために,我々は,コバルトクロム合金製の金属床に直接陶材を築盛する方法の開発を行い,金属表面に金粉処理を行うことによって接着強さに及ぼす影響について検討を行った. 昨年度は,義歯床用合金に陶材を焼き付ける場合に,金粉処理が下地金属の色調遮断性に及ぼす影響について検討し,金粉濃度10mg/μlを用いた場合,下地金属の色調を遮断するためには,少なくとも0.15mmのオペーク陶材の厚さが必要であることが示された.また,金粉濃度2.5mg/μlにおいて接着強さが最も高くなることが示されている.そこで本年度は,金属と陶材の間に形成される金粉-オペーク層の構造が,下地金属の色調遮断性および接着強さに及ぼす影響について検討を加えた. その結果,まず金属表面に対し,最も高い接着強さが得られた金粉濃度2.5mg/1μlを用いて処理し,さらに高い金粉濃度で同様に処理することで,オペーク陶材の厚さが0.15mmの場合にも,十分な色調遮断性と同時に高い接着強さが得られることが明らかとなった.また,接着層断面の観察から,金属表面における金粉の付着状態が接着に適していることを裏付け,さらにこの上に積層される金粉層によって良好な色調遮断性が得られたものと考えられる. さらに,陶歯製作法について,本年度はピエゾグラフィを取り入れた場合に排列スペースに適合した人工歯を製作するために,陰型に注入した陶材泥を,コンデンス,凍結,焼成する操作を3回繰り返して行うことで,焼成による収縮が補正され,高い再現性が得られることが示された. 以上のことから,金属床義歯の製作において,金属表面に適切な金粉処理を行い,症例に適合した陶歯を製作し,焼き付けることで,デンチャースペースが少ない症例において,高い金属色遮蔽効果が得られ,強度と審美性を兼ね備えた義歯の製作が可能となることが示唆された.
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