Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2000: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Research Abstract |
本研究の目的は,高齢者,その中でも特に義歯装着者の唾液分泌障害の状況を把握し,それが咀嚼機能に及ぼす影響を検討することである.大阪大学歯学部附属病院第二補綴科を受診した65歳以上の有床義歯装着者37名(男性17名,女性20名,平均年齢72.9±6.4歳)について,性別,年齢,常用薬剤の有無,義歯の種類が唾液分泌機能に及ぼす影響について検討を行った.採取した唾液の量的・質的評価には,安静時5分間および2gのパラフィンペレットを咀嚼した際の刺激時2分間として採取した唾液の1分間あたりの唾液分泌速度,唾液のpH,唾液中のタンパク質濃度を測定した.有床義歯を装着した高齢者では,安静時の唾液分泌障害が51%の者に,咀嚼時では37%の者にみられた.唾液分泌速度は,安静時,咀嚼時とも男性に比べ女性が低く,74歳以下の前期高齢者に比べて,75歳以上の後期高齢者では安静時において低かった.唾液分泌速度の低下に伴って,pHも低下し,タンパク質濃度は増加する傾向がみられた.一方,今回の結果からは,常用薬剤服用の有無や全部床義歯装着者か部分床歯装着者によって,唾液分泌速度に差はみられなかったものの,義歯の改善により,唾液分量は増加した. 唾液の質的評価として,今回購入した流体特性測定装置を用いて,咀嚼機能に大きく影響を及ぼすと考えられる唾液の粘性を測定するために,基礎的検討を行い測定条件の確立を行った.今後,pHを緩衝能等とともに,義歯の製作もしくは調整の前後の咀嚼機能および分泌唾液の量的,質的評価を行うことにより,唾液が義歯による補綴治療の予後に及ぼす影響や,咀嚼機能の回復過程における唾液の分泌状況の変化について検討を加え,唾液分泌と義歯の機能との関連性に影響を及ぼす因子解析を行うことの可能性が示唆された.
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