Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2000: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
本実験では電解液中放電現象を用いて,チタン表面にハイドロキシアパタイト(HAP)の薄膜コーティングを目的として,処理条件の検討を行った.クエン酸/リン酸水溶液にリン酸三カルシウム粉末を過飽和に溶解させた電解液中でチタン板を陽極に,白金板を陰極に対向させ,試作電源でVp:450Vの電圧を印加し,放電現象により陽極処理を行った.次に極性を反転させチタン板を陰極に設置し,Vp:400Vの電圧を印加し放電現象により陰極処理を行い電解液成分のコーティングを行った. 電解液中のリン酸濃度を0.4,0.6,0.8,1.0%として,陽極処理時間10秒,陰極処理10秒で処理を行い,X線回折パタンを比較すると,いずれの処理でもHAPが確認できるものの,リン酸濃度0.4,0.6%では,副産物としての水酸化カルシウムが認められたが,さらにリン酸濃度を大きくしていくと,0.8,1.0%では共に水酸化カルシウムは確認されなかった.SEMによる観察から,チタン表面に一様にコーティングが施され,断面SEM像からコーティング層は5μm程度であり,間隙もなく母材に良好に密着している像が確認された.処理後のチタン板を0.9%NaCl水溶液に浸漬すると,コーティング層は浸漬初期に著しく減少し,その後は変化が少なくなり,28日後においてもX線回折によりHAPが存在していることが確認された. 本法によるHAPコーティングでは,リン酸濃度を増加することにより副産物を減少させ,また印加電圧を十分に上昇することができるため,チタン表面で放電現象による電界や熱により,熱処理などの後処理を行うことなく,短時間で厚さ5μm程度のHAP薄膜コーティングが可能であった.浸漬実験から28日後の試験片表面においても,HAPが確認されたことから,今後動物実験などに応用可能であると考えられる.
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