Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2000: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
CDKインヒビターは,細胞周期の進行に重要な役割を果たすサイクリン/CDK複合体に結合し,そのキナーゼ活性を阻害する一連の細胞周期調節タンパク質で,G1期からG1/S移行期にかけての細胞周期の制御に関わるとされている.CDKインヒビターの一つであるp27kip1は細胞周期を負に制御する因子とされており,胃癌,食道癌,大腸癌,肺癌などでp27kip1蛋白発現の減弱が悪性度や予後と相関するとの報告がみられる.そこで今回,口腔扁平上皮癌におけるp27kip1蛋白の発現を免疫組織化学的に検討した.対象は当科で加療を行った扁平上皮癌症例55例で生検標本を用いた.方法はパラフィン包埋ブロックを用いて免疫染色を行った.用いた抗体は抗p27抗体(DAKO,100倍希釈),抗Ki-67抗体(Novacastra,400倍希釈)で,LSAB法にて行った.p27kip1のL.I.は正常粘膜上皮で51.8±8.5%,扁平上皮癌では30.1±17.4%(中間値30.2%)であり有意に減弱していた.逆にKi-67の発現率は正常粘膜上皮に比較し有意に増加していた.p27kip1の陽性率と腫瘍進展度,リンパ節転移,分化度,浸潤様式について検討したが,これら臨床病理組織学的因子との間に明らかな関連性は認められなかった.また,p27kip1とKi-67の発現との間にも明らかな相関関係は認められなかった.p27kip1の発現率について中間値30.2%を基準に陽性群と陰性群に分類し,5年累積生存率を検討したところ,陰性群が生存率がやや低い傾向にあったが統計学的に有意差はなかった.以上のことから,口腔扁平上皮癌では正常粘膜に比べp27kip1の発現が減弱してることから,細胞周期の制御に何らかの異常をきたしている可能性は考えられるが,さらに他の細胞周期制御に関わるタンパクとの関連性について検討する必要があると思われた.アポトーシスとの関連については現在検討中である.
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