Budget Amount *help |
¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,600,000)
Fiscal Year 2000: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 1999: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
矯正的歯の移動による痛みと不快感は歯科矯正治療上の解決されるべき問題点の一つである。かしながら,これらの中枢神経系における制御機構は明らかにされていなかった。本研究の目的は,ストレス形成や痛みの制御に重要な役割を果たすノルアドレナリン,ドパミン,セロトニンなどのモノアミンが,歯の移動による痛みに対してどのような役割を果たしているかを解明することである。そこで,実験的歯の移動を行った後,脳を取り出し細分し,それぞれにおけるノルアドレナリン,ドパミン,セロトニンとその代謝物の産生量を,高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で微量定量した。 その結果,歯の移動によって生じる侵害刺激によって三叉神経脊髄路核相当部の延髄においてノルアドレナリン,ドパミン,セロトニンなどのモノアミとその代謝物の産生が亢進した。つまり,矯正的歯の移動による痛みと不快感は,ストレス形成や痛みの制御に重要な役割を果たすモノアミンの制御を受けている事を明らかにした。過去に我々が報告した所見も考慮すると,歯の移動によって生じる上行性の侵害情報は延髄後角において大脳辺縁系などの上位中枢からの下行性の制御を受けることが示唆された。これらの成果はBrain Research誌に報告した。 さらに、セロトニンについて延髄後角の上位中枢である中脳における役割も詳細に検討したところ、セロトニンの代謝が歯の移動による侵害刺激によってこの部位においても亢進することを明らかにした。この結果はJournal of Dental Research誌に投稿中である。
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