Research Project
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
平成11年度はRGD-CAPの発現についてはニワトリ軟骨組織よりRGD-CAP cDNAのクローニングに成功し、さらにRGD-CAPリコンビナント蛋白の発現を行った。このリコンビナント蛋白をウサギおよびマウスに免疫した結果、両者において、高い抗体価を示すポリクローナル抗体が作製できた。これらの抗体を用いて、発生段階におけるニワトリ胚における免疫染色を行った結果、軟骨分化過程における基質産生期から肥大期にかけてRGD-CAPが高レベルで存在することが明らかとなった。さらにリコンビナント蛋白を用いて軟骨細胞の接着活性を検討した結果、RGD-CAPは1mg/mlの濃度から軟骨細胞接着、伸展を促進した。RGD-CAPの接着活性はEDTAにより阻害され、2価の金属イオンを必要とし、しかもインテグリン中和抗体を用いた阻害実験を用いた結果、インテグリンα1およびβ1の中和抗体により阻害された。これらの結果から、RGD-CAPの接着活性はインテグリンα1β1を介することが明らかになった。平成12年度では、RGD-CAPと変形性関節症患者の軟骨病態との関連を検討した結果、顕著な関連性は見出せなかった。しかし、検体数を増やして、今後も検討を行って行く予定である。また、初期軟骨分化過程において、発生初期のニワトリ胚の免疫染色の結果、軟骨凝集塊や軟骨膜においてRGD-CAPが高発現していることが明らかとなり、未分化間葉系細胞が軟骨へ分化する過程で増加し、逆に骨に分化する過程で減少することが新たに明らかとなった。このことより、RGD-CAPは内軟骨性骨化の特に初期の段階で高発現し、細胞接着とともに、細胞増殖にも関与し、軟骨組織の成長に大きな役割を果たしていることが示唆された。
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