Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2000: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
顎運動計測における種々のパラメーターに影響を与える因子として咬合異常や顎関節機能異常などが指摘されている.しかし,本来咬合形態や顎顔面形態,顎関節形態はバリエーションに富むものであり,これらの形態の違いと顎運動との関連は余り研究されてこなかった.本研究の目的は,各種顎運動パラメータにおいて咬合および顎顔面形態がそれぞれどのように関連しているかを調査することである.矯正治療の方法によっては咬合形態,特に幅径やアーチフォームが大きく変化する場合がある.特に,幅径の変化は矯正治療後の安定性に影響するという報告があるが(Vanalsdal R.,2000),これらの咬合形態の変化と顎運動の関連が機能時の力学的バランスに変化をもたらし,咬合の安定性が得られているのかもしれない.そこでまず,長期安定性が臨床的に示されているCetlinの方法に従ってリップバンパーによって筋の再教育を行った結果,歯列がどのように変化するかを調べた.その結果,幅径の拡大,特に小臼歯部における幅径の拡大が著しく,受動的な歯列の発達が得られることがわかった.さらに,これら歯列の発達が,どのような歯の動きでもたらされているのかについて調査したところ,臼歯部の頬舌的,近遠心的製直と遠心への回転が互いに関連しながら起こっていることが明らかとなった.これらの歯列の変化は約1年以内に達成されており,顔面幅径の成長変化よりもはるかに大きな変化が得られている.つまり,顎運動に影響すると思われる顎関節・顎顔面形態・咬合のうち,咬合だけが短期間に変化していると言うことである.しかも,幅径が大きくなっていると言うことは,関節に対する相対的な位置づけが変わるということであり,顎運動は歯軸に対してより垂直的に行われるようになり,このことが咬合安定の一助となっている可能性があることが示唆された.また,さらにこれらのデータをデータベース化し,様々な形態計測値と顎運動の関連を調べる予定である.
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