Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2000: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Research Abstract |
ナメクジの嗅覚-味覚連合学習においては,同一の嗅覚刺激に対して学習前後で異なる運動出力が生じるようになる.これは嗅覚中枢である前脳における可塑的変化によると考えられている.平成11年度の研究から,in vitro嗅覚学習系において忌避条件付けされた匂いが選択的に前脳の同期振動の振動数を上昇させることが示された.このような中枢神経活動の変化が行動変化に結びつくメカニズムを明らかにする目的で,前脳からの出力神経を同定して前脳から運動出力への情報出力過程を調べた.前脳に脂溶性蛍光色素であるdiIを適用し,前脳に神経突起を伸ばしている神経を染色したところ,脳神経節後脳において数個の細胞が染色された.この染色パターンを参考に後脳の神経細胞を探索し,前脳の同期振動と同期した入力を受けている神経細胞を同定してmetacerebro-procerebral neuron(MPN)と名付けた.前脳の同期振動を薬理的手法により変調させるとMPNの振動的電位も変化したのに対し,MPNに脱分極通電を行って発火させても前脳同期振動は変化しなかったことから,MPNは前脳の出力神経であると考えられた.MPNにbiocytinを注入して形態を調べると,MPNは前脳および後脳に神経突起を伸ばしていたが,後脳に伸びている神経突起にはvaricosityが多数存在していたのに対し,前脳に伸びている神経突起にはvaricosityが見られなかった.これらの形態学的結果も,MPNが前脳からの出力を担っていることを示唆している.これらの成果により,MPNの活動を指標として学習に伴う前脳神経活動変化と前脳からの出力変化の関係を解析することが可能となった.
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