Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2000: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
|
Research Abstract |
ヒト由来株化ニューロンモデル細胞SH-SY5Yに一酸化窒素(NO)を負荷すると,クロマチンの凝縮,DNA断片化,低DNA含量細胞や細胞膜上へのフォスファチジルセリンの露出を伴うアポトーシス様の死が起こることをこれまでに報告している.そこで,今年度はその詳細なアポトーシス実行過程を明らかにする目的で研究を行い,以下の知見を得た. NOはミトコンドリアからのチトクロームcの漏出を惹起し,それに続いてカスパーゼ-2,-3,-6,-7,および-9の活性化を引き起こした.また,カスパーゼ-3の基質蛋白質であり,DNA断片化に関与するDNaseであるCADに結合して活性を制御しているinhibitor of CAD(ICAD)の分解もNOによって起こることが分かった.カスパーゼ-3阻害ペプチドを処理すると,カスパーゼ-2,および-7の切断が抑制されたことから,カスパーゼ-3はカスパーゼ-2および-7の上流で働いていることが示唆された.一方,NOは時間依存的にミトコンドリア内膜の膜電位を低下させることが明かとなった.内膜において,透過性を調節する複合体に作用するシクロスポリンAおよびbongkrekic acidはNOによるミトコンドリア膜電位の低下を有意に抑制し,さらにチトクロムCの細胞質への漏出とそれに続くDNAの断片化も抑制した. 以上のことから,NOはミトコンドリアに作用し,その膜電位を低下させることでアポトーシス実行因子であるチトクロムCを細胞質に放出させ,カスパーゼおよびDNaseを活性化して,アポトーシスを惹起している可能性が示唆された.
|