Research Project
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
グリベンクラミド(GB)やトルブタミドに代表されるスルホニルウレア(SU)剤耐性および不応答のメカニズムを分子レベルで明らかにするために、膵β細胞に発現するイオンチャンネル群に着目し、分子発現をタンパク質レベルで調べた。最近、我々が明らかにしたGB結合分子グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)について、SU剤との相互作用についても調べた。1、SU剤長期投与による膵β細胞イオンチャンネル分子群の定量長期GB投与したインスリノーマ細胞HIT-T15におけるインスリン分泌に関与するイオンチャンネル群(Caチャンネル、ATP感受性Kチャンネル、リアノジン受容体、IP_3受容体)の発現量をウェスタンブロット法によって定量し、インスリン分泌量の変化と対比させて調べた。GB長期投与によりSU剤応答性インスリン分泌が低下した。しかし、いずれの分子もその発現量に顕著な変化は観察されなかった。この結果は、SU剤長期投与によるSU剤応答性低下の一因として、SU剤が作用する未知の分泌制御因子の関与を示唆している。2、SU剤の新規ターゲットGSTについての検討SU剤とGSTの相互作用については、現在までほとんど知られていない。そこで、種々のSU剤を用いて吸光度法によってGST活性に対する影響を調べた。その結果、ほとんどのSU剤に阻害作用が認められた。かつ、その阻害はグルタチオン(GSH)との拮抗であることが分かった。これまでGSHと拮抗する薬物はGSH誘導体以外知られていない。よって、本知見は非常に興味深いと思われる。また、本酵素は酸化ストレスとも密接に関与している。今後、SU剤によるGST発現量と細胞内GSHレベルの変化について解析を行い、インスリン分泌不全との関連性があるか否かを明らかにしたい。
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