Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2000: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Research Abstract |
細胞生物学的研究のゴールの1つは生きている状態における分子の働きを生きているその場で明らかにすることである.このためには細胞をすりつぶさないで機能を調べることができれば多くの情報が得られると考えられる.本研究ではこの目的を達成するために有機化学を道具として用い,直接にIP_3受容体の細胞生物学的機能を解明しようと試みる.特に,生体機能探索分子をデザイン・合成し,イノシトール3リン酸(IP_3)受容体をレーザー分子不活化(CALI,Chromophore-assisted Laser Inactivation)することで,生きた状態での作用の解明を目的とする.方法としては,IP_3受容体に特異的に結合し,レーザー照射によりIP_3受容体の機能を瞬時にノックアウトする化合物を作成・応用する.この作成分子を用いて時間・場所を精密に制御した機能阻害を行い,生理学的条件下でのIP_3受容体の作用解析が可能となる. 本年度は前年度の実験結果より得られたデータを有機化学的手法にフィードバックし,機能探索分子の最適化を行い,さらに生物学的評価を行った.現在までの研究結果では研究当初デザインされた化合物において,1位のリン酸基を保護することにより,IP_3の代謝酵素であるKinaseとPhosphataseへの特異性を低下させることに成功している.さらに,モルモットの平滑筋組織を用いてCa^<2+>放出能を測定した結果、これらの分子が弱いアゴニストであることが分かった.つづいて,モルモット冠動脈平滑筋組織の系でCALIを行った.低分子プローブを加え,パルスレーザーを3分間照射すると,照射前に比べて約60%のCa^<2+>放出が抑制された.一方,コントロールでは,変化が見られなかった. 以上の実験から、低分子プローブを用いたCALIにより,IP_3受容体の機能を抑制できることが示された.低分子CALIが成功した例はこれがはじめてであり,生体分子の機能解明の手段として,非常に有用となることが期待される.
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