Research Project
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
慢性疾患の子どもが、病気と向き合いながら日常生活を送る中、どのように自己決定を行っているのかを明らかにすることも目的とした研究である。昨年度のインタビューの結果、子どもの病状が安定していることが子どもの自己決定に影響していることが考えられたため、時々病状が安定していない子どもに対して、インタビュー調査を行った。インタビューの承諾を得られた子どもは5名であった。糖尿病、腎疾患の子どもたちである。症状が時々出ていることより、インタビュー時は体調の変化には十分留意し、気分不快などが出現しているときは、即座にインタビューを中断することとした。インタビューは病院内で実施した。症状の出現は子どもの日常生活を健常児とは違うものにしていた。子どもはそのことを十分知っており、安定しているときは『気をつけている』と述べているが、症状が出現し始めるとやや無理をしているようである。周囲からの意見を聞き入れることが困難になり、自分なりの決定に固持している傾向が見られる。特に発病してからの年数が長い子どもに多く見られた。自分の身体のこと、病気のことを常時考えて日常生活を決定しているが、子ども同士の中で自分の居場所を確保するためにやや判断が甘くなっているようである。これが、結果症状悪化を招いている。看護者として、病歴が長く、病気を認識ていると思われる子どもであっても、発達段階の中で何度も病気である自分と向き合わねばならない子どもであると再認識する必要がある。在宅療養している子どもの多くは、病気のことであっても自分で決定することも多くなっていくので、子ども自身が判断を間違っていないかということをいつも医療チームの一員として見守ることが重要になってくる。