Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2000: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 1999: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Research Abstract |
アルツハイマー病(以下AD)高齢者の自力摂食困難に至る過程を探求するために,療養型病床群を有する1施設でADと診断された89名を対象者として,摂食に関する実態調査を実施した。対象者を摂食自立度(4段階)で分類し,その関連要因について分析した。さらに経時的変化をとらえるために,1998年3月までの振返り調査の可能な23名について,摂食自立度の変化とその影響要因の分析を加えた。 摂食自立度は,自力摂食の可能な第1段階は22名(24.7%),誘導や部分的な介助を要する第2段階は28名(31.5%),全面介助の第3段階は31名(34.8%),経管栄養など経口摂食をしていない第4段階は8名(9.0%)であった。関連要因として,スピアマンの順位相関で「痴呆の重症度(N式老年者用精神状態尺度;NMスケール)」r=-0.81(P<0.001),χ^2検定で「寝たきり」Cr=0.71,「体幹維持」Cr=0.69,「視力」Cr=0.38(いずれもP<0.001)が挙げられた。さらに要因の影響の大きさを比較するために,摂食自立度(第4段階を除く経口摂取の第1〜3段階)を外的基準として数量化II類を行った。判別的中率72.8%で,第1軸(相関比0.83),第2軸(相関比0.51)ともに「痴呆の重症度」の影響が大きく,第2軸では「寝たきり(1日22時間以上のベッド上での生活)」「見当識」の影響も認めた。 振返り調査の可能であった23名のうち,2年間で摂食自立度が変化した者は15名(65.2%)であった。影響要因として,統計学的に有意な関連を認めたものは「寝たきり」Cr=0.76(P<0.001)のみであり,事例でみると,慢性退行型の疾患に起因するところの病状悪化が契機となり,寝たきり状態を長期化させ,それに伴い摂食自立度の低下している者が多くみられた。以上のことから,AD高齢者の自力摂食を維持するためには,寝たきりを長期化させないことが重要であることが示唆された。
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