Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2000: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Research Abstract |
本研究では,急峻な斜面と明瞭な谷底地下水域とを有する丘陵地源流域を対象として,詳細な水文観測および水サンプリング・化学分析を実施することにより,源流域における水循環および水質形成過程における谷底地下水域の役割を明らかにし,さらに源流域の水循環過程に関する一般則を得ることを最終目的とした. 本年度は昨年度に続き対象流域において,河川水位および流量の連続観測,斜面尾根部から谷底に至る地中水の流動に関する観測,および林内雨,地中水,河川水のサンプリングを実施した.得られた水サンプルはすべて実験室に持ち帰り,水素・酸素安定同位体比,およびCl-,SiO2濃度の分析を行った.この結果,約2年間にわたる基礎的な水文・水質・安定同位体データが得られた. 対象流域においては,降雨に対する河川の応答がきわめて速やかである傾向が認められた.また豪雨時において,河川水の安定同位体比は降水の影響をきわめて強く受けるという結果が得られた.地中水の挙動に関するデータ,また地中水の安定同位体比データなどを考慮すると,降雨流出時に河川水のかなりの部分は,谷底近傍の飽和域において発生した飽和地表流によって形成されているものと判断された.すなわち飽和域に降った降水が,地中水と混合することなく,降水成分を保存したまま飽和地表流として河川に流出したものと結論づけられる.従来,飽和地表流については,降雨流出に対して量的にかなり寄与することが報告されているが,本研究によってその成分が初めて特定され,小流域における降雨流出過程に果たす飽和地表流の重要性が,量的にも質的にも実証された.
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