Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2000: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Research Abstract |
ハザードの変化に伴い,生活リスクが増大化・多様化している。本研究は(1)生活主体のリスク認知とリスク管理のパタンが起因する属性,(2)リスク認知とリスク管理の,生活の健全性と豊かさの実現における位置およびそのウェート,(3)リスク認知とリスク管理に必要な生活資源(システムの冗長性の増加にかかるコスト)を確保できない生活主体の負荷を取り除く対応可能性の3点を明らかにすることを目的としている。 平成10年9月に本人が実施した質問紙調査の素データの分析および文献考察を踏まえ,以下のことを導いた。リスク管理の実現は,個人・家庭・地域の生活設計の実現とともに車の両輪として生活の豊かさと健全性に有意な影響を与えている。そして,人々のリスク認知にはまず「関与(concern)」さらにその意味までを理解する「気づき(aware)」のプロセスがあり,そのあとにリスク管理の「行動(action)」に至る。職業や年収,年齢などの属性がリスク認知とリスク管理の程度に影響を与えているのは,それらが総体として,生活主体のリスク認知/管理に必要な条件と,現状とのあいだに生じる「コンテキスト・ギャップ」を構成しているためである。ここで,リスク認知/管理への気づきに十分な資源(情報を含む)を生活主体に提供し,コンテキスト・シフトを促す施策の必要性が提起される。このときの情報および資源は各生活主体の認知的不協和を引き起こさない適切な内容・タイミングで提供されることが重要であり,それには専門家の客観に基づく内容・タイミングだけでは不十分てある。ここで,生活主体のニーズの把握を包含したリスク・コミュニティの構築が今後の課題となる。
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