Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2000: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
本年度は,イギリスの中等音声国語教育について,次の二点を中心に研究を行った。 第一点は,昨年度の研究を,より深め,なぜ中等学校で音声国語を教育しなければならないのかという,中等音声国語教育の根本思想の研究である。 具体的には,イギリス教育科学省の諮問を受けて,国語教育の全国調査を行い,その結果をまとめた調査報告書『生活のための言語』(1975年刊,通称,バロック報告書)の論述を詳細に検討した。 バロック報告書では,中等音声国語教育に関して,ある程度の文章量を割いて論述を展開しており,それを受けて,複数の勧告を提示している。しかし,それらの論述と勧告の関係を精読した結果,論拠・根拠に乏しく,恣意的な論考に陥っていることが明確になった。なぜ中等学校で音声国語教育を行わなければならないのかという疑問に対して,論拠・根拠を示すことができず,音声国語教育を行うのが当然であるという前提に立って述べられていることが明らかになった。 本研究を通して,明確な論理的根拠を具備したカリキュラム開発の困難性が再認識された。 第二点は,イギリスの中等音声国語評価論の研究である。具体的には,イギリスの中等音声国語評価活動を主導してきた,クリスタベル・バーニストンの著作を精読した。氏は,1968年と1982年に中等音声国語評価の啓蒙書を刊行している。その両書を比較した結果,氏の中等音声国語評価論の基本には変化がないことが明らかになった。 本研究を通して,教育者の教育観の基本は,かなりの時間を経ても,大きくは変わらないという一側面が浮き彫りになった。
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