Research Abstract |
喘息発作のように同一患者上に再起的におこる事象を評価項目とした臨床試験における中間解析の方法論について検討した.前年度の研究業績をうけて,本年度の主な研究テーマは,中間解析時での情報分数の推定,無作為化に基づく解析法を用いた場合の中止基準の構成,の二つである.ここで,情報分数とは,中間解析時の(治療効果に関する)情報量を最後まで試験を継続したときの情報量で除したもので定義される. 中間解析時での情報分数の推定に関しては,ポアソンプロセスを仮定したときのスコア関数の分散の期待値を情報量とみなし,中間解析時で試験から脱落していない患者は試験終了まで脱落しないという仮定の下で情報分数を推定する方法を提案した.これは真の情報分数をやや過小評価する推定量を与えるが,試験の経過時間を情報量とみなした簡便的な推定法(簡便法)と比べて偏りは小さいことが期待される.しかし,数値計算によると,真の検出力,及び,期待停止情報量上での偏りにおいて,簡便法と比べて実質的な差を見いだせなかった. 無作為化に基づく解析法として,再発時間に加速モデルを仮定した方法を提案した.また,これを現実の臨床試験でしばしばおこる割り付けられた治療の不遵守(ノンコンプライアンス)や再発時間と独立でない脱落に対処できるように拡張した(Matsui(2001),Proceedings of the American Statistical Association).
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