Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
本研究で本年度は以下の成果を得た. (1)サッケードを考慮したパターン認識システム 視覚系におけるパターン認識に関する従来の多くの計算論的研究は,空間的に全ての箇所を同時並列的に処理するタイプであった.しかし,人間は実際には同時に処理する視野内の領域を一部分に限定し,逐次的に処理領域を移動させてゆく注意の機構を有する.注意の機構うち,covert attentionの機構を考慮したモデルはOlshausen(1993)やFukushima(1987)などによって既に提案されている.一方,サッケードを伴うovert attentionを考慮したモデルとしては,脳内でパターンは注視対象特徴とサッケードベクトルの連鎖として表現されるというNortonとStarkのscan-path theoryを実装したモデルが提案されている(Rybak et al.,1999)が,サッケードが記憶してあるscan-pathから逸脱する場合,認識が成立しないという問題がある.本研究ではサッケードの巡回順序に依存しない脳内パターン表現を提案し,それを実装した新しいパターン認識システムを提案した.コンピューターシミュレーションで機能を検証した. (2)初期視覚におけるborder-ownershipの表現機構のモデル 初期視覚領野に,輪郭が帰属する物体が輪郭に対しどちら側であるかをエンコードする細胞が存在する事をZhouらは生理実験により発見し,そのような表現様式をborder-ownership codingと呼んでいる(Zhou et al.,2000).初期視覚における神経情報処理は局所的であるのに対し,border-ownershipはパターンの大域的属性であるので,初期視覚の細胞同士の相互作用によってborder-ownershipが処理されると考えられる.本研究では,パターンの輪郭の曲率,L-junctionにおける角度などの局所的情報をもとに,大域的属性であるownershipを決定する初期視覚の神経回路モデルを提案した.コンピューターシミュレーションによって,提案するモデルがZhouらの知見に類似する反応を示すことを確認した. (3)3次元の輪郭の知覚特性 Fieldらは2次元平面上に描かれるランダムなガボール・パッチ群の中に,滑らかな輪郭に沿ったガボール・パッチ群が含まれる場合に,これらが統合され知覚され易いことを見出した(Field et al.,1993).本研究では両眼視差を与えた3次元的な輪郭を刺激に用いた心理実験を行い,知覚特性について調べた.輪郭の奥行方向の勾配を大きくすると,輪郭の知覚のされ易さが減少するなどの知見を得た.
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