Research Abstract |
インターネットの発達とWWWの出現で個人レベルの情報の発信が可能となった.地図情報処理の分野でも,従来は国家機関あるいは地図メーカーだけが地図データを提供してきたが,インターネットを介して個人が地図上の付加データを発信し,多くの利用者により共有できる枠組みが整備されつつある.個人向け地図の仕上がりは,地図職人が作るほどの完璧さは必要無いが、簡単に作成でき,出来上がった個人用の地図は読みにくかったり,誤って情報を読み取ったりする(誤読する)ような表示は避けなければならない,本研究では,地図の自動合成における不適切な部分の検出,さらに,より読みやすい地図にするための支援ツールの方法論を確立し,実際に支援ツールの開発を行うことにより,この方法論の有効性を検証する. 本年度は,地理データベースから検索された結果を地図として視覚化する際の1つの問題である表示情報量の制御に関して形式化を行い,研究論文(佐藤聡,有川正俊,「力学モデルに基づく空間データ表示の動的選択機能」,情報処理学会論文誌「データベース」,Vol.41,No.SIG6(TOD7),2000年10月,pp.58-68.)としてまとめた.また,2次元の地図上での情報制御の問題だけでなく,実写映像および風景動画に対する疑似3次元空間に対する情報制御に関しても研究を行った,2次元地図では,地球を真上から撮影したものであり,その中のオブジェクトまでの距離は一様であり,視点の角度もほぼ直角と考えて良いので,スケールと情報量を関係させていて制御している地図システムが多い.しかし,実写映像は疑似的な3次元映像であり,視点,方向,ズーム率などが自由であるので,3次元空間と同様に映像の中のオブジェクトの位置や方向が個々で異なるために,スケールというような簡易な概念は存在しない.そのために,3次元空間における情報量制御は,LoD(Levels of Detail)という概念が一般的である.これは,視点とオブジェクトの距離に応じて,オブジェクトの表示詳細度を調整するという枠組みが必要となる我々が今まで提案した枠組みは,スケールとは独立の枠組みであり,このLoDの基本的な枠組みに自然に統合可能であることが分かった.
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