Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
照射硬化に寄与する欠陥クラスターの形成・移動(拡散)・蓄積過程は,時間的にも大きさ的にもマルチスケールな現象であり,中でも1nm以下のサイズの微小クラスターは実験的に観測することが極めて難しいにも関わらず,照射硬化メカニズムを解明する上で重要になることが多い。今年度は,昨年度に引き続き微小格子間原子クラスターの挙動,特に,ひずみ場における拡散挙動を分子動力学法により解析したことのほか,新たに,ヘリウム照射下またはヘリウムーはじき出し欠陥共存下においてみられるヘリウムー原子空孔クラスターの形成エネルギー評価を分子動力学法によって解析した。その結果,以下に示す新たな知見を得た。 なお,解析には科研費で購入した計算機を用い,研究成果は,照射理論・モデリングに関する国際会議や日米ワークショップ,国内学会などに公表した。 (1)微小格子間ループのひずみ場における移動挙動に関する分子動力学計算 金属中の格子間ループが一次元高速拡散することは昨年度の報告書において述べたが,今年度はひずみ場におけるループ移動挙動について分子動力学計算を行った。その結果,ループの移動は,きわめてひずみ場に敏感であり,同じ温度であってもひずみ場によって拡散係数,および拡散容易方向がかなり異なるという知見を得た。中でも,数パーセント以上の大きなひずみ場においては,ループの構造が自発的に(非熱的に)変化し,特に一軸引張方向に拡散しやすいという大変興味深い知見を得た。 (2)ヘリウムー原子空孔クラスターの形成エネルギー評価 鉄中のヘリウムバブル核形成過程を明らかにするために,ヘリウムー空孔クラスターの形成エネルギー・結合エネルギーを分子動力学法により評価した。ヘリウムー空孔の結合はかなり高いこと,ヘリウムの存在によってバブルの熱的安定性が飛躍的に向上することなどの知見が得られた。
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