Project/Area Number |
11780370
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Nuclear engineering
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩井 岳夫 東京大学, 原子力研究総合センター, 助手 (30272529)
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Project Period (FY) |
1999 – 2000
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2000)
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Budget Amount *help |
¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2000: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | 陽電子ビーム / カスケード損傷 / イオンビーム / 鉄 / 空孔集合体 |
Research Abstract |
本研究では、世界でも例のない「イオンビーム照射下陽電子ビーム測定装置」を製作し、鉄などの金属材料のカスケード損傷構造を解明することを目的とする。 11年度はまず陽電子ビームによる欠陥データ取得のための各種調整を行った。内容は(1)陽電子モデレータ変更による陽電子ビーム透過効率の向上、(2)イオン・陽電子両ビームの軸合わせ、(3)スペクトロスコピーアンプ更新などによる検出器系の分解能向上、(4)透明石英板イオンビームモニターの整備などである。これらの実施により、室温でのイオンビーム照射下陽電子ビーム測定が可能になった。試料としては純鉄を用い、生成する空孔集合体サイズに及ぼす(1)照射イオン種の効果、(2)照射量依存性に関する実験を室温で実施した。その結果、照射イオンの質量が大きくなると生成する空孔集合体のサイズが大きくなり、dpaあたりの欠陥生成率が高くなることが示唆された。また、この温度では空孔集合体が安定に存在するため、照射下と照射後で欠陥に大きな変化は見られなかった。 12年度は、陽電子ビーム強度の増大を図るため、^<22>Na線源の更新を行った。従来185MBqであったものを740MBqに更新し、ビーム強度を数倍に増やした。また、試料加熱用ホルダーを製作し、最高500℃までの測定が可能になった。さらに、ビーム電流計測用ファラデーカップを製作し、イオンビーム電流計測の精度を向上した。このように整備された装置を用いて、300〜500℃の範囲で照射下陽電子ビーム測定を行った。室温の場合と異なり、欠陥の生成はこの方法では検出できなかった。これは高温で空孔集合体が熱的で不安定なため、生成してもある寿命で消えていっているものと考えられる。今後、さらに温度を下げるか、あるいはイオンビームフラックスを上げて実験を行う必要がある。
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