放射線や活性酸素が誘発する塩基置換突然変異の由来とその修復酵素の研究
Project/Area Number |
11780391
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
環境影響評価(含放射線生物学)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
張 秋梅 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (00260604)
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Project Period (FY) |
1999 – 2000
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2000)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2000: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Keywords | 放射線 / 活性酸素 / 突然変異 / 5-フォルミルウラシル / 修復酵素 / 塩基置換 / 酸化的損傷 / DNAグリコシラーゼ |
Research Abstract |
本研究の目的は、チミンのメチル基へのOHラジカルの付加反応によって生じる5-フォルミルウラシル(5-foU)の修復酵素を大腸菌から同定することである。APリアーゼ活性を持つDNAグリコシラーゼはシッフ塩基中間体を形成するが、このときNaBH_4で還元すると、DNAとグリコシラーゼが共有結合するようになる。この反応を利用して、5-foUを含むオリゴヌクレオチドにトラップされる大腸菌のタンパクを同定し、5-foU部位での鎖切断および5-foUによるinvivo突然変異に対する抑制について検討した。大腸菌野生株の抽出液と5-foUを含む二重鎖オリゴヌクレオチド(17-mers)をNaBH_4存在下で反応させると、3種類の異なるタンパクが関与する複合体の形成が観察された。様々のDNA修復酵素欠損株の抽出液を用いたトラッピング反応の結果、大腸菌mutM、nthおよびnei変異株の抽出液では、3種類のタンパクのうちの1つがそれぞれ消失した。大腸菌mutM nthnei変異株では5-foU-DNAにトラップされるタンパクはすべて検出できなかった。さらに、正常なmutM、nth、nei遺伝子を大腸菌mutM nthnei変異株に導入すると、それぞれの変異株の抽出液で検出できなかった複合体の形成が回復した。次に、MutM、NthおよびNeiタンパクを精製した。これらの精製タンパクはNaBH_4存在下で5-foU-オリゴヌクレオチドと複合体を形成することが分かった。さらに、MutM、Nth、Neiタンパクはいずれも、5-foUの部位で二重鎖のオリゴヌクレオチドを切断することを明らかにした。次に、5-foUを含むプラスミドpSVK3を大腸菌のmutM nth neialkA変異株の中で複製させたところ、その突然変異頻度は野生株、alkA株の場合に比べて有意に増大した。これらの結果は、MutM、Nth、Neiタンパクは、大腸菌における5-フォルミルウラシル修復酵素であることを示している。さらに、ヒトhNTH1タンパクが5-foUを含んだオリゴヌクレオチドとシッフ塩基中間体を形成すること、そのオリゴヌクレオチドを切断することが分かった。
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Report
(2 results)
Research Products
(15 results)