Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2000: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
廃棄物焼却灰から得られる溶融スラグのリサイクル資源としての利用が注目されている。資源化利用の場合,最終処分の場合よりも厳しい環境安全性が保たれることが必要であり,その総括的な評価にはバイオアッセイの導入が有効である。本研究の目的は,廃棄物焼却灰から作成した廃棄物溶融スラグの環境安全性をバイオアッセイによって評価することであり,試験法として感受性・信頼性が高いDaphnia magna(オオミジンコ)を用いた生態毒性試験を適用した。 本年度は,昨年度実施した急性毒性を評価するDaphnia magna急性遊泳阻害試験に引き続き,慢性毒性や生殖への影響を評価するため,Daphnia magna繁殖試験を実施した。先ず,対照系においてOECD(経済開発協力機構)の試験有効基準を常に満足することを確認した。その後,試料として,実焼却施設から入手した廃棄物焼却灰,実施設の溶融スラグを用い,各々について溶出試験で得られた溶出液を繁殖試験に適用した。その結果,焼却灰は10分の1希釈で一部の親個体が死亡したり産仔数が大幅に低下するなどDaphnia magnaに大きく影響を与えるのに対して,溶融スラグでは対照系と全く変わらない試験結果を示した。さらに,比較のため実施設のセメント固化を施した焼却灰についても繁殖試験を実施した結果,一部のセメント固化灰では,元となる焼却灰よりも親個体の死亡率,産仔数の低下率が上昇する結果となった。以上から,焼却灰の溶融固化は,生態影響として,急性毒性を大幅に低減させるだけではなく,慢性毒性や生殖へのリスク低減にも有効であることが明らかになった。
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