Research Project
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
本研究では、大腸菌で発現させたマウス神経型NO合成酵素を用い、種々の生化学的および物理化学的手法(可視、電子スピン共鳴(EPR)、X線吸収スペクトル(アメリカ、ジョージア大グループとの共同研究により遂行))により、本酵素の活性中心構造を明らかにすることを目的として、以下の成果を得た。(i)変異酵素解析から、酵素の2量体形成がヘムおよび基質結合部位に与える変化を明らかにした。(ii)基質アルギニンおよびヒドロキシアルギニン結合型の二量体酵素において、EPRおよびEXAFS法によりヘムの微細構造解析を行った。また、二価金属阻害剤であるCu^<2+>をプローブとしてEXAFSにより銅がヘム近傍に結合しないことを明らかにした。(iii)単量体型で不活性型酵素の諸性質を調べた。不活性型酵素はヘム微細構造に変化がみられ、またアルギニン結合能に顕著な差がみられることを明らかにした。さらに、酵素の二量体形成には、テトラヒドロビオプテリン以外にも必要な因子があることを証明した。以上の研究成果は、原著論文として幾つか発表し、さらに現在2報投稿中である。本研究の成果を足掛かりとして、今後さらに機能未知のテトラヒドロビオプテリン結合の際の酵素活性に対する寄与およびヘム微細構造変化の詳細解明を目指していく予定である。
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