蛋白質におけるイオン溶媒和効果の熱力学的計算手法の開発
Project/Area Number |
11780482
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Biophysics
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
高橋 卓也 岡崎国立共同研究機構, 計算科学研究センター, 助手 (70262102)
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Project Period (FY) |
1999 – 2000
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2000)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2000: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Keywords | 蛋白質 / イオン / 溶媒和 / 熱力学 / 分子動力学 / 誘電体モデル / 数値計算 / Poisson-Boltzman / 溶媒 / 熱力学的安定性 / シミュレーション / 構造 / ヘリックス |
Research Abstract |
溶媒効果の計算において長距離静電相互作用を高速に計算することが重要である。そこでまず溶質 溶媒系を誘電体でモデル化してPoisson-Boltzman式を差分化して解く多重格子点法(現有)の改良(具体的には溶質/溶媒系の差分化アルゴリズムの簡易化による高速化とその効果のチェック、その場合の誤差の評価など)を行った。一方、拡張Bomアルゴリズムの改良版が近年提案され、静電相互作用を高速かつ精確に行う数値計算手法として有望である。そのコード化と任意パラメタの検討などさらなる改良を試みた。高速化に関しては良いが、溶質の構造の変化などがある場合、精度が変化するなどの問題があり更なる検討が必要である。次に溶媒水分子が、溶質分子の構造安定性や内部の相互作用への影響を明らかにするため、蛋白質水系の分子動力学シミュレーションを行い、誘電体モデルとの比較を行った。具体的にはproteinGのB1ドメインの53番Asp残基が作る電気的ポテンシャルに対する周囲の水の寄与を計算した。どちらの場合も電荷間のクーロン相互作用は水分子によって遮蔽され、実験から報告されたような実効誘電率の直線的な距離依存性(傾き〜4)が再現でき、誘電体モデルを用いた解析により、その物理的な根拠が平均して表面に位置するような電荷分布にあることが明らかになった。またSigmoidal型の関数はイオンを含まない系で任意パラメタを2つ用いた場合ですら、直線関数に比べ、あまり良い近似ではないことがわかった。ただし非常に距離の近い電荷間相互作用の場合、この直線式からは逸脱しより低い誘電率の値になることで分子動力学と誘電体モデルの両者が一致した。そのような近距離相互作用がfolding問題においては重要であり、実際Sigmoidal関数や傾き1〜2の直線関数の方が水なしのシミュレーションで構造を安定に保つという事実が説明できた。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)