Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2000: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Research Abstract |
関節軟骨の力学性能計測を生理食塩水中で行うことの可能なシステムを,現有の原子間力顕微鏡に改良を施すことにより完成させた.変形性関節症モデル膝を作成するために,前十字靭帯切離法を家兎の右膝に適応し,ケージ内で12または24週飼育して膝関節を採取した.関節の周囲軟組織を切除して振り子試験を行い,摩擦係数を測定して潤滑性能の指標とした.その後,軟骨の摩擦部分をメスで摘出し,原子間力顕微鏡にて形状を観察した後に表面粗さを求めた.さらに,原子間力顕微鏡で軟骨の押し込み試験を行い,剛性を求めた. 健常膝に比較して変形性関節症膝の摩擦係数は有意に増大し,変形性関節症発症に伴って潤滑機能が低下することが確認された.表向観察の結果,健常軟骨では高さ2μm程度の突起を有するゲル状物質が多く見られたのに対し,変形性関節症膝ではゲル状物質が減少していたことが分かった.また,変形性関節症膝では健常膝に比べて表面粗さが有意に低下し,剛性は有意に増大していた. 健常関節の軟骨表面に多く存在するゲル状物質は,関節液の見かけの粘度を増大させ,関節の潤滑機能を高めていると考えられる.逆に,変形性関節症ではゲル状物質が減少・消失して下層に位置する軟骨表面が部分的に露呈したため,剛性が高まるとともにスクイズ膜による弾性流体潤滑が実現されず,摩擦係数が増大したと考えられる.以上から,変形性関節症における潤滑能の劣化には,軟骨表面のゲル状物質の減少・消失が関与していることが分かった。
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