Research Abstract |
本研究は、富栄養化した手賀沼の湖沼水を、低濃度培養液とみなして,作物生産と富栄養化水の浄化を同時に行う栽培システムの構築を目指したものである。昨年度は7月に,無加温プラスチックハウス,防鳥ネット内に設置したNFT, DFTに,エンサイを定植した.本年度は,定植日を早め,栽培終了を遅らせることで,栽培期間を延長するとともに,エンサイの栽培に不適な低温期におけるシステムの利用効率の向上を図るため,春にホウレンソウ,チンゲンサイならびにコマツナを栽培し,それらの生産性を検討した.4月に植えたホウレンソウ,コマツナ,チンゲンサイはいずれも,被覆により,植物に好適な気温が維持されたことから,ネットハウスよりプラスチックハウスで生育が良かった.一方,6月15日に定植したエンサイは,約一月半で大きく生長し,茶園用の摘菜機を改良した自動刈り取り装置を用いて,7月19日に1回目の刈り取りを行った.昨年度同様,気温・水温の上昇とともにエンサイは旺盛に生育した.実験終了(11月15日)まで約2週間ごとに,昨年度は7回刈り取りを行ったが今年度はNFTシステムでは計8回,DFTシステムでは,4〜5回の刈り取りが可能であった.NFT, DFTシステムにおける収量は,それぞれ16.5,9.4kg・m^<-2>であった.また,タイ,台湾,日本で栽培または自生している27系統のエンサイを栽培し,系統の特性を調査した.生育は系統間で大きく異なり,タイの栽培系統の中には低肥料濃度環境下でも高い生長速度が得られるものが見られ,生産性のさらなる向上が期待された.今年度の実験では,NFTシステムを改良したところ,生産量が大幅に増加したので,さらに改良することで,生産性が高い実用的システムの開発が可能であると思われる.
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