近世日本における出産と身体観に関する研究 -津山藩領内を中心に-
Project/Area Number |
11871043
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Educaion
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Research Institution | Junsei Junior College |
Principal Investigator |
沢山 美果子 順正短期大学, 幼児教育科, 教授 (10154155)
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Project Period (FY) |
1999
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 出産 / 身体観 / 生命観 / 懐胎 / 堕胎・間引き / 近世民衆 |
Research Abstract |
本研究の目的は、「赤子間引取締」という厳しい出産管理がおこなわれた津山藩領内を研究対象に、近世民衆の女性たちの出産と身体観の全容にせまることにあった。とくに、女、子どもの存在状況という広い視野のなかで、女性の出産と身体をめぐる問題を明らかにするために、三つの方向から史料の収集と解読に取り組んだ。(1)一つは、津山城下町に隣接する山北村の人口に関する文書の収集と解読である。山北村には、安永6(1772)年の「美作国西北条郡山北村明細人別帳」以来幕末まで44点(津山郷土博物館所蔵)の宗門改帳が確認されるほか、文化13(1816)年以来、慶應3(1867)年までの52年間に32冊の「懐胎届人別出入生死毎月改帳」が残されている。堕胎・間引きを防止するために作成されたと思われる「懐胎届人別出入生死毎月改帳」には、懐胎4箇月目の記録ならびに出生が毎月記録され、妊娠、出産の過程を追うことができる。とくに宗門人別改帳と懐胎改帳の両方が残存している年度もあり、そこからは1歳未満で死亡した赤子の存在や出産間隔を知ることができる。この両方の史料の解読とつきあわせをおこなった。(2)次に、幕末に津山城下町の医者のもとで修業し、津山近郊の村で産科医として津山城下をはじめ近隣の村むらの女性たちの〈産む〉身体に関わった女医、光後玉江が残した患者のカルテ「処剤録」(明治13-35年)の文書目録作成(『奥禅寺所蔵文書目録』)マイクロ撮影と解読をおこなった。近代の初頭に作成されたこれらの文書は、近世から近代への女性たちの出産と身体観に接近するうえで貴重な手がかりを与えてくれる。(3)さらに生命観を探る観点から、国元日記、町奉行日記のなかの捨て子に関する記事を収集し、解読と分析をすすめている。以上、今年度は、女性の出産と身体観、子どもの生命観の全容にせまるための基礎史料の収集と解読をおこない、その一部については既に分析をすすめつつある。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)