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¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Research Abstract |
レニウム(III)六核クラスター(Re_6E_8L_6型 ; E=S,Se)錯体は,骨格の酸化還元反応性に加えて,最近強い発光を示すことが明らかになり注目されているが,六個のターミナル位にいろいろの配位子を数や構造を制御して導入する合成技術が確立され,超分子を構成するユニットとしての活用にも目が向けられるようになった。本研究では,レニウム六核ユニットを含む多機能性化合物の合成を目指した基礎的アプローチの確立を目指し,次のようなこのアプローチ実現性を示す,先につながる有用な成果を得た。(1)非配位基を残す錯体の合成とその活用。レニウム六核のターミナル位(L)に架橋型配位子,ピラジン,4,4'ービピリジンを単座配位型で,2ないし3ヶ(2ヶの場合にはシス,トランスの両異性体を別個に単離)導入することに成功した。さらに,この非配位部分に新たな金属イオンとして,ルテニウムのポルフィリン錯体を結合させることにも成功した。これらの非配位基をもつレニウム六核錯体が,多機能性錯体の合成ユニットとして有効なことを実証した。さらに,ジプォスフィン配位子を単座で,2ー6個導入することにも成功したが,これらの新錯体をユニットとして活用することにはまだ成功していない。(2)六核ユニットを大きな六配位八面体中心とみるアプローチの確立。レニウム六核錯体ユニットは単核金属イオンをサイズを一回り大きくしたものととらえることが出来るが,このとらえ方により六配位八面体中心として扱えば,ユニットの活用法の立体的な設計が確立する。本研究では,(C_6H_5)_2P(CH_2)_6P(C_6H_5)_2をユニット内の二つのレニウムイオンに橋かけした錯体の合成に成功したが,これはレニウム六核ユニットへの巨大なキレートでもあり,上記の考え方が実証できることの一つの事例である。以上述べた新錯体はいずれも酸化還元反応性,光物性の面からみても興味深い対象であるので,合わせてこれらの諸性質の研究も行い,重要な成果を得ている。
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