Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2000: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Research Abstract |
本研究の目的は,逆問題には解の存在性,一意性,安定性のいずれかが破れているという,いわゆる不適切性があることに着目し,逆問題の数理構造解明を初期値逆問題に適用し、適切化の指針を明らかにする。さらに、カオスに代表されるように、順問題が不適切な初期値問題に対して、初期値逆問題が適切に構築され、安定化解析および超解像解析ができることの可能性を明らかにする. 平成12年度に得られた主な成果は以下の通りである. 1.カオス現象に関連したローレンツ・モデルおよびナビエ・ストークス方程式に対して,誤差を含む観測値を用い初期値逆問題を解く数値シミュレーションを行った.ローレンツ・モデルについては,問題に含まれる非線形性が強い領域においても,時間を遡って推定を行うことができたが,推定可能な範囲が狭くなった.これに対し,次元を1次元に落としたナビエ・ストークス方程式については,支配方程式が非線形であっても観測誤差に対応した程度の範囲で推定が可能であった.2.弾性場の境界値逆問題について,適切化の手法と適切化パラメータの選定につき検討を行った.L曲線法を適切化パラメータの推定に適用した場合には,適切化パラメータの推定がうまく行える場合と行えない場合があった.3.ラプラス場の境界値逆問題に対して,交替境界要素逆解法を適用した.観測値に誤差がないときには,この手法による解は繰返しとともに正解に近づいたが,収束は遅かった.境界分割により効率化が図れることを示した.観測誤差があるときには,計算の繰返し回数を適切化パラメータとし,これを食違い量原理により推定すれば適切化がはかれることを示した.
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