Research Abstract |
本研究では,地上において模擬されたオゾンを含む高層大気とエンジン排気の熱化学反応機構の解明を目的とした実験を行う。特に,オゾン総量を決定する支配的因子となっている一酸化窒素とオゾンの反応に着目し,その反応機構を把握することを目的とする。ます,オゾンと一酸化窒素の反応ついてレーザ誘起蛍光法(LIF)を用いた定量的な計測が可能であることを確認するため,静止雰囲気において一酸化窒素と反応生成物である二酸化窒素のLIF計測を行った。オゾン雰囲気に一酸化窒素ガスを投入し,一酸化窒素と二酸化窒素のLIF強度を計測した。その結果,本研究で用いた計測手法は,反応により消失した一酸化窒素および生成された二酸化窒素の濃度を定量的に計測することが可能であることが明らかにされた。次に,オゾンを含む高層大気中に一酸化窒素を含む模擬エンジン排気ガスを噴射させ,噴流の挙動ならびに一酸化窒素,二酸化窒素濃度分布の計測を行った。実験は容積10立方メートルの真空チャンバを用いて行われ,オゾンを含む高層大気を模擬させた。排気ガス噴射ノズルは直径10mmまたは7mmの円筒であり,窒素ガスで希釈された一酸化窒素を噴射させた。その結果,定性的ではあるが,生成された二酸化窒素濃度をLIF法により計測することにより,オゾンと一酸化窒素の反応を確認することが可能となった。このことから,二酸化窒素生成量から破壊されたオゾン濃度を見積もることが可能であることが示された。
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