ディファレンシャルディスプレイを利用した病理標本の分子病態学的研究
Project/Area Number |
11877035
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Human pathology
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
居石 克夫 九州大学, 大学院・医学系研究院, 教授 (70108710)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 和憲 九州大学, 大学院・医学系研究院, 講師 (50217668)
橋本 修一 九州大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (00243931)
|
Project Period (FY) |
1999 – 2000
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2000)
|
Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
|
Keywords | マイクロディセクション / 肺線がん / 肺異型腺腫様過形成 / PCR-SSCP / 肺腺がん |
Research Abstract |
癌では、ゲノムの遺伝子異常ほかに発現・代謝異常がある。ただ、治療に結びつく個々の癌の具体的な性格化や病理診断には、こうした「発現・代謝異常」の情報も重要と考えられるが、その方面からの基礎データは全くない。そこで我々は、レーザーマイクロディセクションによる標的病変部の遺伝子学的と発現状況を検討し、この概念の病理診断への応用の可能性を検討した。 九州大付属病院での腺癌切除肺を細胞の異型度に合わせて分類し、腺癌細胞はマイクロディセクションにより採取した。これらについて、p53遺伝子(エクソン2-9)をsemi-nested PCR-SSCPを用い遺伝子解析し、p53とその発現制御に関与するMDM2の状況を免疫組織化学的に検討した。 肺腺癌118症例のうちp53免疫染色陽性の48症例のなかで、10症例がp53蛋白のへテロの発現が観察された。p53蛋白高発現を認めた10症例中の7例は、低分化型でしばしば線維化した基質を伴っていた。また2症例は癌組織に高低のp53蛋白発現を認め、これらはエクソン7に変異の存在し、遺伝子変異と蛋白発現に相関を持たない症例であった。一方MDM2の免疫組織化学的発現はp53蛋白の発現と逆相関していた(p<0.05)。加えて、検索した全118例でのMDM2発現は、p53遺伝子変異症例では、p53に変異も発現異常も観察されない症例に比べ抑制されていた。これは、肺腺癌でのp53の組織学的にヘテロな安定化の一部は、MDM2の発現低下によって担われていることを示唆する。 以上の事は、我々が当初予測したとおり、癌の病態は単純にゲノムの遺伝変異のみに依るものでない事を示しており、本研究は今後予後や対象因子を広げるとともに具体的な性格付け等の解析まで発展させることで、治療に結びつく病理診断の基礎データを与える可能性が明らかとなった。
|
Report
(2 results)
Research Products
(9 results)