下垂体特異的転写因子の核移行の分子機構とその病理学的意義-蛍光蛋白Green Fluorescent Protein (GFP)との融合遺伝子導入法による解析-
Project/Area Number |
11877044
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Experimental pathology
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
長村 義之 東海大学, 医学部, 教授 (10100992)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 真一 (吉村 眞一) 東海大学, 医学部, 講師 (30230808)
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Project Period (FY) |
1999 – 2000
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2000)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2000: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 下垂体 / 転写因子 / Pit1 / Green Fluorescent Protein / 核移行シグナル / 成長ホルモン / ルシフェラーゼ / COS細胞 / Pit-1 / PKC / GH3 |
Research Abstract |
我々は下垂体細胞のホルモン産生などを調節している下垂体特異的転写因子であるPit-1、Ptx1、Prop1などが、その作用部位である核のみでなく細胞質にも存在することをラット下垂体に対する免疫組織化学により観察してきた。このことから、これらの転写因子が本来細胞質に局在し、何らかのシグナルにより核へと移行して遺伝子発現を促進する可能性が考えられた。そして、これらの転写因子の細胞質・核局在比がヒト下垂体腺腫における機能分化に大きな役割を果たしているものと考えた。本研究では(1)Pit-1、Ptx1、Prop1など通常は細胞質に存在する転写因子が核内へ移行するシグナルを特定すること、(2)外科的に切除された下垂体腺腫についてこれらの転写因子の細胞質・核局在比を決定することを目的とした。 昨年度までの研究で我々はPit1-GFP融合遺伝子を作製し、これを本来Pit1の発現していないAtT20細胞に遺伝子導入してその局在動態を共焦点レーザー顕微鏡で観察し、Pit1が細胞質にも存在すること、PKCを活性化するシグナルを加えると核に集積することを証明した。この過程で、Pit1-GFP融合遺伝子を導入したAtT20細胞では本来AtT20細胞(POMC遺伝子を発現している)では発現のみられない成長ホルモン(GH)mRNAの発現が誘導されていることを見出した。そこで、このGHmRNAの発現誘導が導入したPit1遺伝子に依っているのかを証明すべく、GH遺伝子のプロモーター領域とルシフェラーゼ遺伝子との融合遺伝子(GHP-Luc)を作製し、GH遺伝子の発現が絶対に見られないCOS細胞(サル腎細胞由来)にPit1-GFP遺伝子とともに導入した。その結果、ルシフェラーゼ活性は同時に導入するPit-1-GFPに依存して発現しているのが観察された。GFP遺伝子のみでは全くその活性に変化が認められなかった。これらのことから、導入されたPit1遺伝子はAtT20細胞のGH遺伝子を活性化し、発現誘導しているものと考えられた。下垂体腺腫では異常なホルモン産生パターンを示す場合があるが、今回の結果は転写因子の発現異常が引き起こしている可能性を強く示していた。加えて、Pit1などの転写因子を導入すれば、ある種の細胞では新しいホルモン産生能を獲得できることを示していた。
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Report
(2 results)
Research Products
(12 results)