Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2000: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
末梢神経が電気刺激されると刺激部位が脱分極し,電位が一定のレベル(閾値)に達すると駆動電流が流れる.これが神経が賦活された状態であるが,刺激部位では脱分極後再分極がおこり刺激に対して不応期になる.末梢神経は大経有髄線緯,小径有髄線維,無髄線維からなりそれぞれ電気刺激に対する閾値,脱分極持続時間が異なる.これまでの矩形波状の電気刺激では大径有髄線維のみしか賦活することができない.そこで刺激電流をこれまでの矩形波状のものから徐々に刺激強度が強くなる三角波状の刺激を加えることで,それぞれの線維の閾値,脱分極持続時間の差を利用して選択的に刺激することを試みた. 刺激開始からpeakまで50 msec,1 msecの三角波で電気刺激することによって感覚神経活動電位(SNAP)を記録することはできた.刺激開始からそれぞれのSNAPの立ち上がりまでを潜時とすると伝導速度約3 m/sec,15 m/secの線維を刺激したことになり,これはそれぞれ無髄線維,小径有髄線維に相当すると思われた. しかし,ここで問題となるのは刺激開始からどの時点で実際に神経が賦活されたか,ということである.刺激開始時点で賦活されている,ということを確認することができなかった.このため,三角波を用いた刺激では通常の感覚神経伝導検査のように一点だけの刺激では単純に伝導速度を計算できないことがわかった.そこで四肢の遠位部と近位部の二点で刺激してそれぞれSNAPを記録し,その潜時差と距離から伝導速度を測定しようと試みたが,四肢近位部刺激では思うようにSNAPを記録することができなかった.通常の矩形波を用いた刺激でも近位部刺激では誘発されるSNAPの振幅は減衰するが,無髄線維,小径有髄線維から記録したSNAPではこの減衰が大きいために四肢近位部刺激ではSNAPを記録することは困難と結論した.すなわち今回の試みでは確実に無髄線維,小径有髄線維を選択的に賦活させていると確認することができなかった.
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