Project/Area Number |
11877160
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Psychiatric science
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
岡崎 祐士 三重大学, 医学部, 教授 (40010318)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻田 高宏 長崎大学, 医学部, 講師 (40304919)
浜中 健二 三重大学, 医学部・附属病院, 助手 (70242956)
城山 隆 三重大学, 医学部・附属病院, 助手 (00252354)
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Project Period (FY) |
1999 – 2000
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Keywords | 一卵性双生児不一致例 / 精神分裂病 / 核磁気共鳴画像 / 拡散強調画像 / 神経線維走向 |
Research Abstract |
精神分裂病には、脳画像研究及び神経病理所見によって、脳構造異常の存在が確実視されている。その脳構造異常は、マクロには微細な量的異常(皮質体積が小さく、脳脊髄液腔の拡大など)であるが、組織病理学的にはニューロンのサイズが小さい、位置異常、あるいは線維連絡の異常などが知られるに至り、分裂病の思考障害や幻覚・妄想などの基盤に神経回路網障害miswiring/misconnectionが存在するとの有力な仮説が唱えられている(Stevens,1992;Weinberger,1993)。しかし、死後脳研究は、対象が少ない上に加齢、死因、脳標本固定、生前の服薬、標本作製時のアーティファクト等の影響を免れないので、分裂病の神経回路網障害の検索には限界がある。本研究は、水分子の拡散を捉え神経線維走行を反映する画像を抽出できる拡散強調磁気共鳴画像(diffusion weighted magnetic resonance imaging::DWMRI)を方法とし、遺伝子は共有しながらも表現型(分裂病罹患)が不一致の一卵性双生児を対象とすることによって、分裂病罹患者の神経回路網の異常をin vivoで視覚化することを目的とするものである。これが可能にれば、分裂病の脳形態学的画像研究はマクロな体・容積計測研究からin vivoでの組織病理学的レベルの研究に発展可能となる。本年度に行えた研究結果は以下の通りである。 1.DWMRI計測指標としての拡散異方性は関心領域(ROI)サイズをどの程度にすれば、再現性が得られるかの検討とROI決定:脳梁で検討した所では、軸画像で面積80mm^2位を測定すると再現性ある結果が得られた。ROIとしては脳梁膝部、同膨大部、前頭葉深部白質、側頭葉後部白質を選んだ。灰白質や脳脊髄液の混入が無く計測できるからである。 2.DWMRIがin vivo脳における神経線維の走行を視覚化できることの証明を以下により行った。 (1)線維走向方向が明瞭な脳梁では左右方向の拡散異方性が最大であった。(2)健常一卵性双生児では脳梁の拡散異方性の大きさとパターンが極めて類似していた。(3)血縁でない健常な2人では脳梁の拡散異方性の大きさも異方性パターンも非類似であった。 2.DWMRIを一卵性双生児(MZ)分裂病不一致例に適用し、ROIにおける拡散異方性の大きさやパターンが、罹患双生児と非罹患双生児間で異なるかを検討したところ、脳梁と側頭葉後部深部白質に大きな差異が認められた。しかし2人の差異はMZ分裂病一致例が最も大きく、前頭葉深部白質にも見られた。この差異は血縁のない同性他人同士間の差異ほどに違った。MZ健常例では全ての部位で2人の双生児は極めて一致していた。従って不一致例の差異は罹患双生児に線維走向異常が認められることを示すものと思われた。 研究協力者:長崎大学医学部大学院生・松尾勝久
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