Research Abstract |
本研究では関節円板障害あるいは変形性関節症患者を対象とし,「下顎頭の運動障害は耳管機能の低下を惹起する」という作業仮説を疫学的手法により検証することを目的とし,本年度では予備調査に引き続き,横断的調査を実施した。 すなわち,横断的調査で用いるプロトコール(柴田)に基づき、以下のごとき研究方法を採用した. (1)顎関節病態の評価:顎関節部MRIにより顎関節病態を診断し,下顎頭運動に関連するデータをデータベースを蓄積する(柴田,研究代表者). (2)耳管機能の評価:顎関節病態の評価にブラインドをかけた状態で,耳管機能検査装置(設備備品)を用いて耳管音響法,および気流動態法の2種類の検査を施行することにより耳管機能を評価し,耳管機能に関連するデータをデータベースを蓄積する(中村,研究分担者). (3)顎関節病態と耳管機能との関連性の統計的判定:両データベースを照合し,本学計算センター所有のSASシステムを用い判定する(柴田,中村). 目標とする研究対象数:両側とも下顎頭の運動障害の見られない対照群20名,左右側いずれかの下顎頭に運動障害のみられる片側群,および両側とも運動障害がみられる両側群それぞれ20名,計40名の顎関節症患者,計60名. 本研究期間中に蓄積されたデータ数は.顎関節症患者では両側とも運動障害がみられる両側群12名,左右側いずれかの下顎頭に運動障害のみられる片側群8名,計20名と目標の50%であり,今後さらに計測を継続し,さらなるデータの蓄積が必要である。
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