Research Abstract |
本合成研究の標的化合物であるCP-225,917とCP-263,114は、スクワレン合成酵素阻害に起因する強力なコレステロール合成阻害活性とRas-ファルネシル転移酵素阻害に基づく抗腫瘍活性をもち、これらの化合物をリードとするコレステロール低下薬あるいは抗腫瘍剤の開発の可能性が示唆されている。本研究は、CP-225,917とCP-263,114の全合成を完成させ、まだ未決定のままである絶対構造を明らかにするとともに、それらの効率的合成法を確立することことを最終目的としていが、11年度においては、その合成研究の基礎となるビニルルトリフラートの分子内Heck反応に基づく骨格形成について詳細に検討した。その結果、様々なビニルルトリフラートに対して本方法論が適用できることがわかり、研究課題からは少し外れるが、この方法論を適用してビタミンDA-環部の効率的新規合成法を開発できた。今後、必要な官能基を全て備えたビニルトリフラートの合成に全精力を傾け、これまで得られた知見をもとに、その分子内Heck反応に基づくCP-225,917とCP-263,114の全合成を達成する予定である。
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