環境物質であるキノン系化合物の曝露による生体内NOの産生低下と循環器疾患の誘発
Project/Area Number |
11877398
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Environmental pharmacy
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
熊谷 嘉人 筑波大学, 社会医学系, 助教授 (00250100)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮内 卓 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (60222329)
下條 信弘 筑波大学, 社会医学系, 教授 (00080622)
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Project Period (FY) |
1999 – 2000
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2000)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2000: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | ディーゼル排出微粒子 / 循環器疾患 / キノン系化合物 / 一酸化窒素 / 環境化学物質 / 血管調節 |
Research Abstract |
血管内皮細胞において、一酸化窒素(NO)は血管弛緩や血管内皮細胞の保護に働くガス状物質であり、内皮型NO合成酵素(eNOS)により産生される。一方、ディーゼル排出微粒子曝露と循環器疾患との関連性が示唆されているが、その実態は明らかにされていない。本研究では、ディーゼル排出微粒子に含まれているキノン系化合物の主要成分であるフェナントラキノン(PQ)によるeNOS活性阻害メカニズム;血管平滑筋弛緩阻害と血圧上昇について検討した結果、下記の事実を明らかにした。 1)ウシ大動脈血管内皮細胞膜画分を使用した検討:PQはeNOS活性を低濃度で阻害し(IC50値=0.6μM)、この阻害様式は基質であるアルギニンに対して非拮抗型、補酵素であるNADPHに対して拮抗型であった。また、種々のキノン系化合物によるeNOS阻害強度はそれぞれの1電子還元ポテンシャル値に相関することが示された。PQはタンパク性SH基の酸化を引き起こし、その原因はPQとSH基との反応による"レドックスサイクル"が引き金となることが示された。 2)ラット大動脈血管標本を使用した検討:PQ(5μM)はアセチルコリンによる内皮依存性血管平滑筋の弛緩は有意に抑制されたが、ニトログリセリンによる内皮依存性血管平滑筋弛緩の弛緩に対しては殆ど影響しなかった。 3)ラットにPQ(0.36mmol/kg)を腹腔内投与すると、平均血圧が対照値の約1.4倍有意に上昇した。本条件下において、血漿中NOの安定酸化代謝物NO2^-/NO3^-量は、対照値の約70%まで減少した。 以上のことなら、ディーゼル排出微粒子成分であるPQはeNOS活性阻害に起因する生体内NO産生を引き起こし、その結果、血管調節系を撹乱することが明らかとなった。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)