LHC実験でのボトムクォークを利用した新物理探索における背景事象の研究
Project/Area Number |
11F01738
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 外国 |
Research Field |
素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理(実験)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
花垣 和則 大阪大学, 大学院・理学研究科, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LEE JasonSangHun 大阪大学, 大学院・理学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2011 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2012: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | ヒッグス / ボトムクォーク / Zボソン / LHC / Wボソン |
Research Abstract |
本研究の目的は,LHC実験においてH→bb探索を行う際に重要となる背景事象の性質を明らかにすることである。Zボソンを伴い生成されたヒッグスがボトム反ボトムクォーク対に崩壊する事象を探索すべき信号としているので,Zボソンが2つのジェットを伴い生成される事象が主な背景事象となる。また,探すべき信号の終状態には,Zボソンのレプトニック崩壊を用いるので,トッブクォーク対の生成後トップクォークの崩壊により生成されたWボソンがレプトニック崩壊する事象も背景事象として大きく寄与する。そこで,これら2つの事象の生成量およびそれらの終状態に存在する粒子の運動学的特徴の精査を行った。 検出器の分解能や検出効率をシミュレーションに反映させ,上記背景事象を評価したところ,背景事象数だけでなく,レプトンやボトムクォーク起源のジェットの運動量や角度分布が実データを再現していることがわかった。これにより,背景事象を理解できていると考え,予想する背景事象数を越えた事象数がないかどうかを検証した。標準模型が正しいと仮定すると,観測されうる事象数は背景事象数に比べて遥かに少ないので統計的に有意な信号数を得るのは難しいが,同時に,背景事象数とも完全には一致しないという灰色の状況になることが予想され,実際のデータでも統計的に有意な信号を観測するには至らなかった。 ヒッグスの信号を観測することはできなかったが,ヒッグスとフェルミオンとの結合を直接観測できることからH→bbの観測はLHCの物理プログラムの中でも最重要課題の一つであり,2015年の実験再開後のメインテーマとなることが予想されている。そのテーマを先取りして,背景事象を理解できた点に学術的に大きな意義がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
標準模型の予言が正しければ,本研究で使用したヒッグスの生成崩壊過程では信号を捉えることは困難であり,本研究の第一の目的である背景事象の理解という点では,事象数だけでなく,崩壊後に生成される粒子の分布等までシミュレーションで再現できるようになったことから,当初の目標には到達したと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2013年と2014年はLHCは運転を停止し,2015年から重心系エネルギーをあげて運転を再開する。そこで,これからの2年間は,すでに収集した全データを使った解析結果を発表することと,来たるべき運転再開に向けて,検出器および解析用ソフトウェアの整備を進めることとなる。特に,ボトムクォークジェットの同定に重要な役割を果たすピクセル検出器には大掛かりな変更が加わるので,それに備えた信号処理プログラムの変更を行う予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)