Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Research Abstract |
本年度は、半導体表面における金属的なスピン偏極電子状態とスピン偏極電流の実現を目的として研究を行った。 スピン偏極電子状態の候補として、半導体表面近傍に局在する表面電子状態に注目した。試料として臭素終端ゲルマニウム(111)(Br/Ge(111))表面およびタリウム終端ゲルマニウム(111)(T1/Ge111))表面を用いた。 Br/Ge(111)に関して、低速電子回折(LEED),角度分解光電子分光(ARPES),スピン分解ARPES(SARPES)を用いてその原子構造と電子状態を決定した。その結果、本表面にはスピン偏極した電子常態が存在することが明らかになった。実験結果は第一原理バンド計算結果と比較し、スピン偏極状態が表面以下10層程度のゲルマニウムsubsurface領域に局在していることを明らかにした。既報と異なり、Br/Ge(111)では重元素が存在しないにも関わらずスピン偏極した電子状態が発見された。この結果は、スピン偏極電子状態に関する物質探索の幅を大きく広げるものである。 T1/Ge(111)に関してARPES,SARPES,第一原理計算から、本表面におけるタリウム原子の被覆率を調整することで、金属的かつスピン偏極した電子常態が現れることを発見した。このスピン偏極電子状態は本表面における唯一の金属的な状態であり、スピン偏極電流などのスピンに依存した伝導現象が現れると期待できる。 以上のように、本年度は半導体表面において金属的なスピン偏極電子状態を発見した。この成果に基づくスピン偏極電流の実現は今後の課題である。
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